製造工程(木製漆器)

下村の漆器への自信とこだわりの秘密をお教えします。

 下村漆器の商品(漆器)は、お客様と、漆器を作る職人と、私どもとで、皆様のための漆器を開発・製作していくことをモットーとしています。
  今回一例として、「こどものための木の食器」の開発例を取り、弊社の木製漆器がどのように開発され、商品化していくのか、製造過程をご紹介していきます。
  みなさまに下村漆器の漆器に対する想いや、飽くなき追求を続けるこだわりの姿勢を感じていただければと思っています。

木製漆器の4大工程

4大工程図

木製漆器の製造工程は、主に昔ながら技法で製作します。工程は大きくわけて、左記のように木地、下地、塗り、加飾にわかれます。工程それぞれの職人により作り上げられていきます。

1木地作り

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■荒挽き

 生の木材からおおまかな形へ切り出し、乾燥させたものを荒挽き(あらびき)といいます。今回荒挽きした木地は、という木材です。 栃は、大きさが直径3寸7分(113)高さ2寸5分(75mm)。小ぶりのお椀用です。(写真1)
  「子どものための木の食器を作りたい。」スタッフの想いから始まった今回の商品企画では、皆さんの意見からデザインを検討し、汁椀と飯椀を作ります。

■木地挽き

ロクロ木地挽きは、木地轆轤挽き職人 安宅健一氏にお願いしました(写真2)。この方には、欅漆塗り夫婦汁椀もお願いした方です。丁寧な仕事ぶりが評判です。(写真3・仕上がった子どものための汁椀・飯椀形状見本)

2下地作り

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 越前漆器の産地では、職人の人たちが少なくなってきています。椀ものの下地をする人は、もっとも少ないかもしれません。
 そんな、椀物の下地をしていらっしゃる職人三崎さん※写真1に、今回のこどもの器をお願いしました。

■木地固め※写真1

木地に生漆を吸わせて木地固めをします。

■布貼り

 毎日、熱いものを入れられるお椀は、苛酷な条件にさらされます。そんなお椀を保護するために布を貼ると丈夫さを保てます。
  生漆をつけた布を、椀の上端とお椀の内側中央(見付布)に貼っていきます。※写真2.3.4
  漆は強い接着剤ですから、木地と布を密着させます。

布貼り用生漆の成分 割合
生漆 44%
続飯(もち米・うるち米を炊いたもの) 46%
麦粉 9%
和紙繊維(ガマの穂なども使用) 1%

■下地付け

地の子漆を刷毛で塗り、研ぎを繰り返します。(※写真5)三辺地付け(3回下地の工程)をした子ども用椀は※写真6のようになりました。

3塗り

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 塗りは、 原隆明さん※写真1にお願いしました。


■中塗、中塗研ぎ

下地のあと、漆を刷毛で塗り傷などがあれば錆漆をつけ(疵み・きずみ)補修し研ぎます。
そして、小中塗・仕上げの上塗りをします。

■上塗り

漆を濾して、温めます。※写真2 お椀を触らないで塗るため、裏底にツクをつけます。(写真は違うお椀です)※写真3.4
今回は総朱なので一度に全面塗り上げますが、黒内朱(外側:黒 内側:赤)の場合は外黒を塗り乾かし、内側を塗り乾かし、うら底を塗り仕上げます。

塗ったお椀を、中の棒が一定時間になると回転する回転風呂の中に入れて乾燥させます。※写真5
 漆が垂れずに均一になるように工夫されており、越前河和田ではこの回転風呂が一般的です。(他産地ではコバ板に並べ手返ししているところもあります。)
 漆は、湿度・温度を考えて乾かします。その気候によりますが、漆の乾燥は数日かかります。
 乾かした後、ツクを取り、裏底を黒に塗って完成です。
(完成写真 このページ上部 子どものための木の食器参照)

今回加飾はありませんでしたが、蒔絵・沈金の工程がある場合もあります。
蒔絵の工程についてはこちらでご覧いただけます。
沈金(名入れ)の工程についてはこちら

工程(22工程)表

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 昔ながらの一般的な漆器の22製造工程です。
本堅地の朱塗り椀・欅漆塗り夫婦汁椀は、このような工程を経て作られています。
  それぞれ、塗りなどの違いはありますが、一流の職人がお作りしています。
  下記写真は、1枚の板が漆器へと形を変えていく製造工程をわかっていただくために、製作した板です。


1.木取り
2.乾燥
3.荒挽き
4.乾燥
5.白木地挽き
6.木地固め
7.布着せ(麻布、端と底)
8.布削り
9.一辺地付け(一辺地粉+生漆)
10.研ぎ
11.ニ辺地付け
12.研ぎ
13.三辺地付け
14.地研ぎ
15.中塗り
16.疵み(きずみ)
17.中塗り研ぎ
18.小中塗り
19.研ぎ
20.疵み拭き上げ
21.上塗り
22.加飾(蒔絵・沈金など)
22工程表図

■本当の良さは目に見えない内側にあります。

 「どうしてそんなに同じに見える汁椀で価格が違うのですか?」という質問をよくいただきます。それは、このように22製造工程のものもあれば、下地の部分を吹き付けで行う商品もあります。また、塗り・加飾もその商品により色々違い、その違いが価格に大きく影響しています。
  「本当の良さは目に見えない内側にある」漆器とはこのような物なのです。
  確かな漆器は確かなアフターケア体制が整ったお店でお求めください。